一人暮らしの化学徒 じょん。の日記

親元を離れて、大阪で一人暮らしをする阪大生のブログです。

「2位じゃダメなんですか?」から大学生が考える研究者の現状

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    おそらく、今の大学生ならみんな知っている言葉

「2位じゃダメなんですか?」

    これは今から10年くらい前の民主党政権時代に行われた事業仕分けの際に蓮舫さんという人が放った一言である。

    スーパーコンピュータに予算をたくさん出して1位を取ろうという研究者に放った一言だったと思います。

     極めてシンプルでちびっ子でも理解ができる言葉でありますから、当時小学生だった私の周りでは大流行していました。

 

    さて、時は流れて、今では僕も大学生です。この言葉を改めて考えてみると、本当にバカなことしやがったなというような感じがします。今日は僕が思っていることを書いてみたいと思います。

 

事業仕分けで削減されたもの

    たくさんのものが削減されました。

    もちろん、無駄なものは減ったでしょう。ただ、減らしすぎたものもたくさんあるように思います。

    もっとも有名なのはスーパー堤防の話でしょうか。とんでもない水害が発生しても耐えられるように地盤ごと高さを上げようというとても斬新な話です。事業仕分けでは予算があまりにもかかるので中断となりました。その後、東日本大震災で改めて重要性が認識されて、また動いていたりします。まあ、当時は利根川とかといった河川での話だったのでこれが中断されてなかったら被害は減っていたとは思いませんが、もしかしたら減らせていたのかもしれないと思いますね。

    まあこれだけではありません。前日、小惑星にクレーターを作るというとんでもないことを成し遂げたはやぶさ2も予算削減されています。

    もっと有名なものではips細胞の研究等の予算も削減されています。

    予算が削減されてもなんとかなってんじゃん! ノーベル賞も取ってるし! と思った人はきっといるでしょう。それは違います。研究以外のことに頭を使って、そこでお金を捻出して、なんとかやりくりして、奇跡的にうまくいっただけなんです。

    見渡せば予算不足で消えていった研究も山ほどあります。きっとその中には未来のノーベル賞につながるものもあったに違いありません。

    なんでもかんでも無駄といい、削減することはとてもバカな行為だと感じます。

    家にあるたまにしか使わないミキサー。無駄だからとそれが突然捨てられてしまう。そして、結局使うときにとても困るわけです。ミキサーならまだマシです。普段お箸でご飯を食べるからフォークとスプーンはいらないと捨てたらてみてください。流石にきついものがあります。

    たしかに無駄なものは捨てる、やめるは正しいことだとは思います。ただ、その無駄のラインを見間違ってはいけません。

    正直思うのは、ただの専門知識もない一般人が無駄だからとものを捨てるのは本当にバカじゃないかと真剣に思います。知らない家の子供に自分の大事なものを捨てられてるのと同じようなことです。

なぜ研究にお金がいるのか

    研究というのはとてもお金のかかることです。理系なら知っていると思いますが、大抵の研究室には何百万円という装置がゴロゴロ並んでいます。

    そんなに高くなくてもいいんじゃないの?という人もいるかもしれませんが、それは間違いです。なぜなら今研究者が研究しているレベルのことはそれぐらいの装置を使わないとわからないような世界だからです。

    予算が減らされるともちろんこんな機材は買えません。そうなると研究はもともと難しいのにさらに難しくなるということです。

    例えば、プランクトンを見るときに虫眼鏡を使う人とと顕微鏡を使う人、どっちがちゃんと観察できるかなんて言わなくてもわかるような話です。

    予算が減らされれば顕微鏡でしか見えないものを虫眼鏡で研究させられるということです。

    こんなので研究が進むわけがないと思います。

    そのため、研究者はあの手この手で資金を集めているそうです。ただ、当然ながらその時間で出来た研究は出来なくなり、さらに遅なります。

    海外を見渡せば、莫大な資金で研究をしている人がたくさんいます。そんな人たちには確実に追い越されます。悲しいですがね。

 

    機材を買う費用が足りないというだけではありません。

    成果をしっかり出さなければ辞めさされたり、そもそも成果をしっかり出してもそれがしっかり評価をされないという現実があります。

    つまり、しっかりやっても給料は安い、挑戦的なことをして失敗したら辞める羽目になる。

    恐ろしい話です。

    素晴らしい研究というのは常に新しいことに挑戦しているところから生まれるものだと僕は思っています。

    新しいことに挑戦し、素晴らしい研究が出来れば、それはいずれ世界の役に立つかもしれません。

     しかし、今は挑戦することは極めて難しいです。

     こうして、日本の研究力はただ下がりしていってると言われているわけです。

    この事実は多くの人が知っているはずですが、未だに改善される気配がありません。

 

2位じゃダメなんですか?

    1位と2位なんて別に変わんないでしょと思っている人もいるかと思います。

     そんなわけがありません。

     金メダリストと銀メダリスト、ニュースで取り上げられるのはどっちですか?

     1番仕事のできる人と2番目に仕事のできる人、どっちについていきますか?

    与党と野党第1党 どっちの方の意見が採用されますか?

    極めて簡単な話です。普通に考えて2位じゃダメに決まってるんです。

     研究業界でももちろん同じだと思います。1位のところは2位より早く、より精度の高いデータを手に入れることができます。

     そりゃ一つの測定では差がついても1日とか1週間とかのレベルでしょう。ただ、研究は1回では終わりません。何度も繰り返して行います。するとなんということでしょう。知らない間に1年以上の差がついてしまいます。

    この1年の差は大きいです。これだけでノーベル賞取れるか取れないかが変わってくるぐらいには。

    もしかすると事業仕分けで削減してなかったらもっと輝いた研究もあったんだろうなと思います。

    もちろん、お金をかけてもすぐにわからないこともたくさん出るでしょう。ただ、その失敗や経験が他の人のいい研究につながるわけです。研究なんて一本のルートで行くもんじゃないです。色々な知識が組み合わさることでなんとかできるものなんです。

    そういった失敗を増やすためにも基礎研究にもっとお金をかけなくてはなりません。

    基礎研究は一見無駄に見えますが、いつか役に立つ研究になるかもしれません。

    電波なんてなんの役に立つんだと言われた時代もありました。今では身の回りにあるもののほとんどに電波が使われています。

    日本の技術や製品はこれまでの日本の基礎研究の上で成り立っています。

    そこに税金をたくさん使いたくない? なら何も買ったりするなよって話です。自分の利益を追求するより前に、社会全体の利益を考えてみるべきだと思う。それは多分将来必ず帰ってくると思う。

    今の人はやはり目の前のすぐに取れるものばかりにお金をかけたしまいがちである。

    短期的に見ればいいことだが、長期的に見れば本当に良くないと思います。テスト直前しか勉強しない人と、毎日コツコツやってきた人の進学先の違いみたいなもんです。

 

    とりあえず、いいたいことは研究者に金出さないのがどれだけ馬鹿な行為か大学生でもわかるのに政治家はわからんらしいってこと。そんだけ。

    ここ削るよりももっと削るべきところと取るべきところがあるんじゃないかと思うわけです。